No.004「号外:本当にお客様を大事に思うなら」



今回のお話は私が高校3年生の夏休みに体験した貴重なお話しです。

当時の私は高校生最後の夏休みバイトのない日は海や山へ大忙し。夏休みともなれば、パークはたくさんのお客さんが集まるシーズンです。そんな中、長時間勤務者に送られるパークの優待券を私や仲間がもらいました。

長時間勤務者がもらえる優待券は、累計勤務時間の最初の500時間を突破した月にもらえ、その後も1500時間、2500時間と1000時間単位でもらえます。

この優待券には、半年間の有効期限があるものの、どんなにパークが混雑し入場制限が行われようとも使えるそれは便利なチケットなのです。

当時、私たちが所属しているパレードゲストコントロールは、夜のパレードがメインのお仕事なので、通常は勤務時間が夕方からパレードが終了する夜までで、毎日バイトするとは言え、昼間は暇になってしまうのです。

そこで私たちはバイトの仲間数人と、どうせ夜に行くのだから昼間からもらった優待券を使って仕事の始まる時間まで、パークで遊ぼうと言うことを考えました。

そして当日。パークの入り口で待ち合わせた私たちの隣には、入場制限で入れないお客さんの長蛇の列……。それもそのはず、私たちが入場したその日は夏休みの中でも最も混雑する「お盆期間のど真ん中」だったのです。

私をはじめ、優待券を握り締めた一行は、働くものの特権と言わんばかりに涼しい顔で入場します。

「いやぁ〜。気持ち良いね。人がたくさん並んでいるところをさ、入場するって」
「ほんと、働くものの特権だよね。」
「ワッハッハッ」

今考えるとなんて嫌なやつなのでしょう。(T_T)

パークに入場した私たち一向は、要領よくアトラクションやショーを楽しみます。それもそのはず、長く働いているわけですから、この時間どこが混んでいて、どこが空いているのかもわかっていますし、ショーの時間もインプットされ、パレードなんかも何時にどこのエリアに行けば最前列で見られるというのも知り尽くしているのですら。

そしてお昼のパレードを見ようと、買ってきたピザとコーラを片手に、仲間数人で最前列を陣取ります。待つ事30分、いよいよパレードの準備が始まります。

ちなみにお昼のパレードの準備や片付けを担当するのは、各アトラクションから集まったスタッフです。それぞれのアトラクションから数人ずつあつまり行うので、コスチュームも違います。

そんなスタッフを管理するのは、私たちの上司です。したがって私たちの上司は昼のパレードと夜のパレードの両方を見るのです。その日の責任者は、怖い町丸さんと生重さんでした。

私たちは知っているスタッフや責任者の町丸さんや生重さんに手をふって盛り上がっています。パレードも到着し、お客さんとして最前列でパレードを楽しみ、次なるアトラクションへ……。アトラクションも乗り終えパークを満喫し出勤しました。

そして数日たったある日、天気はあいにくの大雨。雨が降れば当然パレードは中止となるのですが、いつ雨が上がるのかわからないので、絶対に出勤しパレード中止が決定するまで、待機しなくてはなりません。

その日の雨は上がらず残念ながらパレード開始予定時刻の15分前に中止が決定。通常はここで勤務解消ということで退勤となるのですが、なぜか勤務解消ではなくそのままトレーニングセンターへ。心の中で「何だ今日は帰れないのか……」

トレーニングセンターの大きな部屋の中に、約80人のスタッフと責任者の町丸さんと生重さん。そして全員が着席し、町丸さんが話し始めました。

「最近忙しくて、朝終礼でもあまり時間を取って話すことがなかったので、今日は勤務解消ではなく、ミーティングをしようということになりました。」

〜町丸さんの話が続きます〜

連日パークには、夏休みということもあってたくさんのゲスト(お客様)が来てくれていますね。でも残念なことにたくさんのゲストが来てくれる半面、パーク内の安全上ゲストの入場制限も行われることの多いじきでもあるよね。

皆は高校生で車両通勤をしていないからあまり見たことないと思うけど、毎年この時期になると、パークの駐車場には前の日から来るゲストの車が、夜中に到着してパークがオープンするのをたくさんの車が待ってるんですよ……。

実は先日、遅番での勤務が終わり車で帰ろとしたところ、駐車場には次の日パークに入るためにたくさんの車がパーキングの入り口で止まっていました。

そして、ちょっと気になり、次の日明け方早くに出勤してみると、なんと一番前で待っていたのは「黄色のアルト」だったんです。

「アルト」って車は皆知ってるかな?
小さな軽自動車ですよ。「軽・自・動・車!!」

気になって車から降りて近くで見てみると、ナンバーにはなんと「鹿児島」の文字……。ビックリしましたよね。

ちょうど明け方だったので、その車の横では早起きの子供2人とお母さんが遊んでいました。聞いてみると、ほんとに鹿児島から来たそうで、家族4人で鹿児島から前の日の朝出発して、高速道路をお父さんとお母さんが交代で運転して来たそうです。

車の中を見ると、死んだように眠っているお父さんがいました。そりゃ疲れますよね。みんなも車の免許を取って、長距離走ってみるとわかりますよ。

他にも、大阪ナンバーや青森ナンバーの車が今か今かとパークのオープンを待っているんですよ。

私たちは、パークの中で働いているので目の前の人がどこから来たかなんて聞いてみないとわからないですよね。でも、この時期に来てくれる人は本当に遠くから時間とお金をかけて来てくれているんですよ。

そして、ようやく起きてきたお父さんとから話を聴いてみると、今日パークで遊んでそのまままた、「黄色のアルト」で鹿児島に帰るそうです。

多分今日もそういったゲストが来てくれていたかもしれませんよね。
残念ながら雨でパレードが中止になってしまったけど、出来ることなら雨でも何でもいいから見せてあげたいよね……。

(その話を聴いていた私たちは、数日前に優待券を握り締め涼しい顔で遊んだことがよみがえり、下を見るしかありませんでした。)

〜そして今度は生重さんが話します〜

夏休みのこの時期になるとさ、パークが混雑して連日のように入場制限が行われます。当然入場制限を行っていても、ゲストは遠くから来ているから、当日券がなければ入れないということがわかっていながらもパークのエントランスまで来るんですよ。

そしてパークの駐車場が満車になると、従業員用の駐車場にゲストの車は誘導されます。つまり、従業員駐車場が臨時駐車場になるわけだ。そこでパーキングのスタッフは、ゲストへ現在入場制限中で、当日券の販売はしていないことを知らせ続けます。
でも、せっかく来たゲストはもしかしたらと臨時駐車場まで車を走らせるんだよ。

そしてゲストは、従業員駐車場に車を止めて、エントランスに向かって歩いて行きます。でもやっぱり当日予約券を持っていないから、あきらめて、また来た道をエントランスから従業員駐車場までトボトボと歩いて帰ってくるんですよ。

私も従業員駐車場からパークの外側を歩いて出勤すると、残念ながらパークに入れないゲストがこちらに向かってくるのと遭遇するんですね。すれ違う人は皆、残念そうに歩いてくるんですよ。

エントランス付近では、やっぱり入れないことを知らされたゲストが、自分の子供にやっぱり入れないことを話しています。そうすると子供は「嫌だぁ!!入りたいよ!!」となるわけです。

ここで見ていると、その子供の親の反応には2つの反応があるんですね。
何だと思います?

(……)

1つはね、聞き分けのない子供に怒るんですよ。
「しょうがないでしょ!!入れないものは入れないの!!(怒)」

(一同うなずく)

そして子供も泣き出し、また来た道を帰っていくんです。

じゃあもう1つはどうなると思う?

(……)

子供に嘘をつくんだよ!!

(???)

普段皆さんもそうだったと思いますが、子供には「嘘」はいけません。といっている
親が、子供に嘘をつくんだよ……。

「○○ちゃん、●ッキーはこっちにいるんだって!!」
「●ッキーに会いに行きましょうね。」って……。

(一同無言)

●ッキーに会えるわけないんだよ!!
パークの中にいるんだから。臨時駐車場にだっているわきゃないんだよ!!
でも仕方なく親は嘘をつくんだよ!!
皆も自分が親だったらって考えてごらん。

自分の子供に嘘をつく気持ちをさ……。
その気持ちを考えたら、パークに入ったゲストにだったら何でもしてあげられるよね。

(一同無言)

「今日はちょうどいい機会だから、本当にゲストの気持ちを考えてほしいと思ってミ
ーティングにしました。皆はどう思う?」

(一同無言)


そこまで話を聴いてようやくわかりました。
本当にゲストを大切だと思うなら……。

数日前のあの日、パークで遊ばなければ、その横で待っていたゲストが数人は入れたのではないかと……。

そしてどうして、パレードの最前列を陣取った私たちの後ろにいた小さな子に席を譲れなかったのかを……。

お客さんで来たのだから何も文句なんかないだろうと思っていた自分たちは、優越感にしたっていました。しかし、たとえお客で来ていても、僕らはそこのスタッフなのだということを思い知らされる話でした。

この後、町丸さんが話してくれた「黄色のアルト」の話と生重さんが話してくれた「自分の子供に嘘をつく」の話は、代々受け継がれ、今では当時の私のような自分勝手なスタッフはいなくなったんじゃないかと思います。

この時、現場での接客以外の部分で、本当に大事なマナーと言うか、スタッフとしての姿勢というか、なにかそういったものを感じさせられました。
そして、いつも現場で行う、本当にお客様を大事に思うことを気づかされたような気がします。

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2005年06月15日 00:14 |メールマガジン(バックナンバー) | トラックバック(3) コメント(0)



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