No.013「第12話:夏休み特別企画 白さん流のコーチングその四、サービスは掛け算!!」



夏休み特別企画最終回ということで、今回も通称「白さん」のから教わったお話で
す。今振りかって見ても、白さんのユニークな一面は、現在の私にとって大きな影
響を与えてもらいました。

ここでちょっと白さんの性格がわかる面白いお話しをしてみましょう。

白さんが住んでいるのは、東京の下町。ちゃきちゃきの江戸っ子!!とにかく、人と
交わるのが大好き!! 家には絶えず人が入れ替わり立ち代りでいつも賑やかです。

特に巨人が大好きで、巨人が優勝するような時には、庭にテレビ持ち出してその横に
ビールが1ケース……。そして優勝が決まった瞬間に、白さんの親戚や、なんと近所
の通行人も混じっての大ビールかけ大会(^.^)

そして白さんの口癖は、「そう!!」

「これ、白さんのペンですか?」
「そう!! どれ?」(おいおい、今「そう」って言っただろうって……)

そして凄く心優しい一面もあります。

「白さん!!最近の新しいスタッフはあいさつもろくにできないっすよね(怒)」
「そう!! えっ そうかなぁ?」
「そうですよ!! ぜんぜん先輩の俺たちにあいさつしてこないっすよ」

「う〜ん。それは、香取があいさつしてあげてないからだよ!!
 白さんがあいさつしたら、ちゃんと返してくれるもんねぇ」
「……いや、あいさつは後輩からするもんでしょ!!」

「それは違うよ、あいさつは先手必勝なの。
 あいさつをしてほしかったら、自分からしていかないとだめだよ!!
 だって、お客さんのほうから、いらっしゃいましたって先に言われてちゃだめでし
 ょ!!それと同じなんだよ」

「なるほど、あいさつは先手必勝かぁ……」


極めつけは、何かあると係りとか、○○委員会ってするのが大好き!!
私がゴーカートのアトラクションの時も、「スタッフの安全意識が足りない、もっと
安全意識を持つべきだ!!」なんて熱い思いをぶつけると……。

「白さん!!今のスタッフには安全意識が足りないですよ!!もっと安全に気を配れるよ
 うに白さんから言ってやってくださいよ!!」

「そう!! 香取、白さん待ってたよ!! 絶対に香取なら気が付くってね!!
 香取がそこまで成長したんだなって思って、も〜ぅ白さん嬉しいよ!!」

「へっ……。いや、白さんに何とかして欲しいんですよ!!」
「そう、だからね、香取がせっかくいい気づきをもったんだから、ここはね香取が安
 全委員長としてね、このアトラクションのスタッフ全員が安全に気を配れるように
 していこう!!」

「いゃぁ……白さんに何とか……」
「そう ねっ!!それがいいね。香取がそこまで熱くなるんだったら、白さん全力で応
 援しちゃうからね!!」

こうしてその日から安全委員長となってしまいます。

……どうです。白さんってこうしていろんな係りや委員会を作ってしまうんですね。
白さんの名誉のために解説すると、こういった一連の中で、決して白さんが計算して
こうしているのではないんですよ。

いっつも真剣にこうしてしまうところに、白さんの白さんらしい人柄がうらやましく
なりますよね。そんなところが、私が白さんを尊敬してしまう理由かもしれません。
そして、その白さんから教わった中でも大事にしているお話です。

当時私が担当していたのは、お城の中をガイドになって案内するアトラクションでし
た。白さんはそのランドの総責任者(スーパーバイザー)でした。

その日は、私の担当していたお城の責任者の低田さんが人事異動で、お城での勤務が
最後の日のことでした。

私も非常にお世話になった上司の低田さんが最後の勤務ということで、その日のスタ
ッフ全員で、終礼時にお城の中で低田さんに1人ずつ感謝の気持ちをこめて、バラの
花を一輪ずつ渡そうと内緒で計画していました。

スタッフの話し合いの結果、そのバラを用意するは私の役目に決定し、勤務の前に花
屋に頼んで40本のバラを取りに向かいました。

私は花屋さんから40本のバラをもらい車に積んで出勤します。
いつもと変わらず毎日の通勤ルートを40本のバラを積んで車を走られます。
ちょっと道が混んでいたので、裏道から抜けようと進路変更をしたその時でした。

ガッシャーン!!

私の後方不注意で、後ろから来たバイクと接触事故を起こしてしまいました(悲)
すぐさま車を降りて、そのバイクの運転手さんにかけより、救急車を呼びました。

幸い、スピードもぜんぜん出ていなかったので、大怪我には至らず、その運転手さん
は病院で検査を受けただけでした。

すぐさま、会社に電話をして事情を説明し、もう一度事故処理が終わってから連絡を
することを約束しました。

事故処理も終了し、バイクの運転手さんの病院にも行き、何とか冷静さを取り戻しふ
と我に帰ると、車には40本のバラ……。「そうだ!!今日は低田さんの最後の日、早
く出勤してこのバラを持っていかなくては」と思い会社に電話をします。

すると、電話口に白さんの声!!

「おぉ香取、大丈夫か?」
「はい、すみませんでした」
「そうか、白さん皆で考えたんだけど、今日は香取、出勤しなくてもいいぞ」
「……いや、今日はどうしても出勤しないといけないんですだから今から行きます」
「こっちは大丈夫だから無理すんなよぉ。なんで、どうしてもこなきゃいけないんだ
 ?」

「……実は……今日は低田さんが最後の日で、それで花を持っていかないといけない
 から……」

「………………そうか、
 わかった。それだったら、気を付けてゆっくり来いよ。そし
 てオフィスに着いたら、白さんのところに来てくれ。約束だぞ!!」
「ハイ」

白さんに言われたとおり、普段より気を付けて出勤します。
そして、オフィスに上がり白さんのところへ行きました。

「おぉ 香取大丈夫かぁ!!」
「はっはい。何とか……」
「白さんね、本当は今日、香取の心のコンディションが良くないから、休んでもらお
 うって決めてたんだよ」

「……心のコンディション?」
「そう!!多分、今大丈夫な振りをしていると思うけど、結構香取の心の動揺はあると
 思うんだ。だから、その心のコンディションでは、お客さんの前には立っちゃいけ
 ないと思うんだよ」
「……」

「あのね香取、"サービスは掛け算"なんだよ!!」
「……えっ?"サービスは掛け算"?」

「そう!! ここではたくさんのゲストが遊びに来ているよね。
 白さんが前に聞いた話なんだけど、ここでのサービスっていうのは、掛け算なんだ
 って……。」
「はぁ……」

「ゲストがエントランスから入ってくるでしょ。そこでエントランスのスタッフに気
 持ちの良い笑顔で対応されるとするじゃない、その後、アトラクションでスタッフ
 に一所懸命にサービスされて気持ちのいい体験をするよね。そしてまた他の場所で
 、他のスタッフに……。
 
 そうやって、たくさんのスタッフにサービスされると、そのゲストの楽しかった思
 い出は、倍に倍になってくるでしょ!!だから"サービスは掛け算"なんだって!!」

「……なるほど」

「でもね、掛け算だからどこかでゼロを掛けるとどうなる?」
「ゼロですね……」
「でしょ!!だから、心のコンディションが大切なんじゃないかと白さんは考えたんだ
 。決して、香取がゼロをかけると思ってるわけではないけど、今の香取のコンディ
 ションは通常とは違うんじゃないかなぁと思ってね」

「……はい」
「だから、今日はゲストの前に立たない方がいいんじゃないかと考えたんだよ!!
 低田さんへの花束は白さんが持っていってあげるから、香取は終礼の時間まで、オ
 フィスでこのお仕事をしておいてくれ。そして今日はパーク閉園後に白さんと一緒
 にお城に行こう!!」

私は言われたとおり、オフィスでのお仕事をすることになりました。
そして、パークが閉園時間になったあと、白さんが迎えにきてくれます。

「香取!!そろそろお城に行こうか!!」
「ハイ!!」

お城まで歩きながら白さんが話してくれます。

「香取、ありがとうね。きっとね低田も喜んでくれるよ。さっきの花はもう準備して
 おいたから……」
「ありがとうございます」

「低田さんは、香取のこと心配していたぞ!!でも、ちょっと嬉しそうだったけどね…
 …。本当は、勤務の無い者は現場に出ちゃいけないんだけど……。
 まぁ白さんが知らなければいいことだからなぁ」

そう言い残して、白さんは私をお城まで送ってくれました。
お城に着くと、低田さんが心配そうに待っていてくれました。
私は低田さんに心配をかけたことを謝り、低田さんの最後の終礼に参加しました。

そして、最後に用意しておいたバラを1本ずつスタッフが持ち、お城の中で一人ひと
り感謝を込めて手渡してあげます。

一番最後に私が渡し、一言「お疲れさまでした」と言うと、低田さんが小さな声で言
いました。

「香取さんありがとうね。白さんから全部聴いてるから……。本当にありがとう」

こうして私たちスタッフ全員で、無事に低田さんの最後を見送ることができました。


この時、白さんが教えてくれた"サービスは掛け算"っていう言葉は深く心に染み渡り
ました。関わっている人の思いが、バトンとなって次のスタッフにわたり、掛け算の
ように倍に膨らんでいく……。

ゲストのことも考え、私のことも考えてくれたんだと思います。そんな白さんの優し
さと、ゲストの前に立つための厳しさを教わったような気がしました。

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2005年06月15日 00:51 |メールマガジン(バックナンバー) |コメント(0)




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