2007.02.01「こころのぬくもり」
「私の路」
私の路はお友達が歩く小さな路とは違う。
私の路は車が走る大きな路とも違う。
山を登る時、私は私だけの路を歩くのが好き。
山を降りる時、私は小鳥達と一緒に歌う。
もしあなたも私の路を歩いてくれるならば、
私と小鳥達の歌が聞こえるはず。
歌を聞けば路が長くても疲れない。
私は私の路を歩くのが好き。
上記の詩は、昨日の昼、僕の友人でもある井上さんからもらったメールの中で紹介されていた、ある少女の詩です。
井上さんとは、以前にがんばれ社長の武沢さんのメルマガ読者の会『非凡塾』で京都の代表をしていた方です。
現在は、僕の尊敬する経営者の一人の鶴岡さんがたった一人で立ち上げたプロジェクト『伝説のホテル』造りを行っている、ザ・レジェンド・ホテルズ&トラスト株式会社にいます。
そんな井上さんからメールをもらいました。
(ここから)******************************************************
皆様
BCCで失礼いたします。
昨日、記事を読ませていただいて、とても感激しました。サイトにあったものをまとめたものですので、よろしければお読みください。
『捨て子の少女の死と、脱・格差社会のもと』
宋 文洲(そう・ぶんしゅう)ソフトブレーン マネージメント・アドバイザー
出典:日経ビジネス・オンライン
1996年11月の四川省の寒村。若い未婚の男性農夫が草むらに捨てられた女の子の赤ちゃんに気づきました。赤ちゃんを育てるのは、貧乏な彼にとって重い負担。そう考える彼は何回も赤ちゃんを抱き上げては下ろし、立ち去ってはまた戻りました。最後、彼は命が尽きそうな赤ちゃんに呟きました。
「私と同じ、貧しい食事を食べてもいいかい」と。
独身のまま1児の父親になった農夫は、粉ミルクを買うお金もないため、赤ちゃんはお粥で大きく育てられました。病気がちな体は心配の種でしたが、聡明で近所からとてもかわいがられたのは、お父さんの救いでした。
女の子は5歳になると、自ら進んで家事を手伝うようになりました。洗濯、炊飯、草刈りと、小さな体を一生懸命に動かして、お父さんを手伝いました。ほかの子と違ってお母さんがいない少女は、お父さんと2人で家をきり盛りしました。
[突然押し寄せた不幸]
小学校に入ってからも、少女はお父さんをがっかりさせたことはありませんでした。習った歌をお披露目したり、学校での出来事を話したりと、お父さんを楽しませました。そんな平和な家庭に突然の暗雲がたれ込みました。
2005年5月。ある日、少女は鼻血がなかなか止まらない状態になりました。足にも赤い斑点が出たため、お父さんと病院に行くと、医者に告げられた病名は「急性白血病」でした。
目の前が真っ暗になりながら、お父さんは親戚と友人の元に出向き、借りられるだけのお金を借りました。しかし、必要な治療費は30万元。日本円にして400万円です。中国よりずっと裕福な日本でも、庶民にとっては大金になるような治療費を、中国の農民がどうにかできるはずもありません。集めたお金は焼け石に水でした。
かわいい我が子の治療費を集められない心労からか、日々痩せていくお父さんを目にして、少女は懇願しました。「お父さん、私、死にたい。もともと捨てられた時に、そのまま死んでいたのかもしれない。もういいから、退院させてください」と。
[自ら治療を放棄すると退院]
お父さんは少女に背を向けて、溢れ出た涙を隠しました。長い沈黙の後、「父さんは家を売るから、大丈夫だよ」と言いました。それを聞いて、女の子も泣き出しました。「もう人に聞いたの。お家を売っても1万元しかならないのでしょ。治療費は30万元ですよね」と。
6月18日、少女が読み書きできないお父さんに代わって病院に「私は娘への治療を放棄する」との書類を提出しました。彼女はまだ8歳でした。幼い子につらい思いをさせてしまったことを知ったお父さんは、病院の隅で泣き崩れました。そして娘を救うことのできない自分を恨み、運命の理不尽に怒りを覚えました。
娘は生まれてまもなく実の父母に捨てられたうえに、貧乏な自分と1日も豊かな生活を経験したことがありません。8歳になっても靴下さえ履いたことがありません。それでなくてもつらい人生を歩まなくてはいけなかったのに、さらに追い打ちをかけて病に苦しめられるとは。
退院して家に戻った少女は、入院する前と同じように家事をし、自分で体を洗います。お父さんに、自分は勤勉で、かわいく、そして綺麗好きな娘として記憶に残してほしい。そう願いながら、1つだけお父さんに甘えました。
新しい服を買ってもらい、お父さんと一緒に写真を撮ってもらったのです。それもお父さんを思ってのこと。「これで、いつでも私のことを思い出してもらえる」と。
[70万元の寄付が集まり、治療を再開]
ささいな幸せの日々も、終わりが見え始めてきました。病気は心臓に及び始め、ついに彼女は学校に行くのもままならなくなりました。苦痛から、学校に向かう小道を、1人カバンを背負って立ち尽くすこともありました。そんな時には、目は涙で溢れていました。
少女の死が近づいたころ、ある新聞記者が病院側からこの話を聞き、記事にしました。少女の話はたちまち中国全土に伝わり、人々は彼女のことで悲しみ、わずか10日間に70万元の寄付が集まりました。女の子の命はもう一度希望の火が灯され、彼女は成都の児童病院に入院し、治療を受け始めました。
化学治療の苦痛に、少女は一言も弱気を吐いたことがありません。骨髄に針を刺した時さえ、体一つ動かしません。ほかの子供と違って、少女は自分から甘えることをしないのです。
[訪れた運命の日]
2カ月の化学治療の間に、何度も生死をさまよいましたが、腕のよい医師の力もあって、一時は完全回復の期待も生まれました。しかし、…。やはり化学治療は、病が進行し衰弱していた少女の体には、無理を強いていたのです。
化学治療の合併症が起き、8月20日、女の子は昏睡状態に陥りました。朦朧とした意識の中で彼女は自分の余命を感じます。翌日、看病に来た新聞記者に女の子が遺書を渡しました。3枚もの遺書は彼女の死後の願いと人々への感謝の言葉で埋め尽くされています。8月22日、病魔に苦しめられた女の子は静かに逝きました。
少女のお父さんは冷たい娘をいつまでも抱きしめ涙を流しました。インターネット上も涙に溢れかえり、彼女の死のニュースには無数の人々がコメントを寄せました。8月26日、葬式は小雨の中で執り行われました。少女を見送りに来た人にあふれ、斎場の外まで人で埋まりました。
女の子の墓標の正面には彼女の微笑んでいる写真があります。写真の下部に「私は生きていました。お父さんのいい子でした」とあります。墓標の後ろには女の子の生涯が綴られてありますが、その文面の最後は「お嬢さん、安らかに眠りなさい。あなたがいれば天国はさらに美しくなる」と結ばれています。
[殺人は微増にとどまるが…]
紹介した話は、僕が中国で旅している間に偶然に耳にしたものです。詳細に興味を持つ方はどうぞ僕のブログをご覧ください。
セレブの奥さんが夫を、医師を目指す兄が妹を、バラバラ殺人する事件が相次いで報道されたり、息子が父親のしつけに耐えられなくなり、母親と幼い兄弟を放火殺人してしまったり、とここ最近、家族同士の殺人事件のニュースを聞かない日がないくらい増えています。
家族同士の殺人事件は、今に始まったことではありませんが、どうも最近はこれまで以上に凄惨になり、数も増えている気がします。
2006年版の警察白書によれば、刑法犯で警察が被害届を受理した件数(認知件数)は2001年度に273万5000件だったのが、2005年度には 226万9000件と減り、殺人事件は同じく1340件が1392件と微増、放火は2006件が1904件と減っています。検挙件数で見ると、殺人は 1261件が1345件と、これも増えてはいますが、目立って増えているわけではありません。
白書の統計の中で、家族間の殺人がどのようになっているのか分からないので、凄惨な家族殺人が増えているというのは単なる印象論なのですが、どうも現代の日本は、家族の絆や生命の重みを大事にする気持ちが、薄まりつつあるのではないかと感じます。
[カネや国に頼る前に、必要なこと]
もちろん勘違いだとは思いますが、そう感じるのは「カネ」さえかければ的な議論が先行し、何をするにしても基本である人の気持ちが置き去りにされているようだからです。例えば、現在、安倍内閣が掲げている教育再生や少子化対策などの是正の議論の中では、必ずといっていいほど、国が対策を講じず、必要な予算をつけなかったから「学校が荒廃した」「子供を産めない夫婦が増えている」というものがあります。
カネがないからダメになった、という意見に、僕は素直に賛成できません。紹介した中国の少女の家庭は貧乏だったけれども、少女を優しい思いやりのある子供に育てました。お金はなかったですが、少女には夢があり、家族愛が育まれました。
この少女が生きた四川省の農村部では、1人当たりの年間現金収入は1000元(約1万4000円)も届かないと聞いています。ですから治療費の30万元というのは、年間収入が500万円の人が15億円の治療費を負担するようなものです。
[思いやる心がない社会の寒さ]
少女の話がまたたくまに中国全土に広がったのは、中国も最近の経済発展でカネがすべてという退廃した空気が充満し、そして日本をはるかに凌ぐ格差社会の実態があるからだと思います。少女の話からお金よりも大事にしなくてはならないものがある、いくらお金があっても得られないモノがあるのだということに気づかされ、それがなんの見返りもない寄付という形になったのだと思います。
お金は、あることに越したことはありません。予算もそうです。教育再生、格差社会の是正に限らず、どんな改革を実行するのにも、予算は少ないより多い方がましです。しかし、お金をかければ、必ずいい結果が出るものでもありません。
学校が荒れているのは、教育予算の規模も関係しているかもしれませんが、僕には家族が、人を思いやる心を子供に与え、教えていないことに根本の原因があると思えます。もちろん家族だけが人を思いやる心を教えるものではありません。家族が教えられなくても、教師、地域、仲間が代わりを務めることもあるでしょう。
暖冬の中、寒々しい話をたびたび聞くにつけ、心のぬくもりについて考えてみました。
宋 文洲のブログ「言います、答えます」2007.1.25より
(前略)
8歳の「女の子」は小学校二年生で名前が「余艶」といいます。彼女が拾われ、8年間生きた場所は「四川省 双流県 三星鎮」という所です。
死後、彼女の鞄から以下の作文を見つけました。
「私の路」
私の路はお友達が歩く小さな路とは違う。
私の路は車が走る大きな路とも違う。
山を登る時、私は私だけの路を歩くのが好き。
山を降りる時、私は小鳥達と一緒に歌う。
もしあなたも私の路を歩いてくれるならば、
私と小鳥達の歌が聞こえるはず。
歌を聞けば路が長くても疲れない。
私は私の路を歩くのが好き。
彼 女のお父さんの名前は「余仕友」といいます。娘が亡くなってもよく娘の夢をみるそうです。読み書きのできない彼は手放さない本があります。それはなんと 「マッチ売りの少女」です。入院中の娘が父さんにその童話を読んでくれました。「寒い寒い大晦日の夜、雪が降り続ける中、……」と。父さんは「可愛そうに……」とため息を漏らすと、娘は「うちは大丈夫。たくさんの人が助けてくれるから」と言いました。
たくさんの人々が闘病中の彼女を励まし、回復を祈りました。しかし、彼女は帰れませんでした。彼女の葬式は小雨が降り注ぐ日に行われましたが、たくさんの「お父さん」と「お母さん」が涙を拭きながら参列しました。
彼女は病院で3ページの遺書を書き残しました。そこに8歳の子供に思えないような、お父さんへの気遣いがありまし。そして彼女は、人々からの寄付金を自分と同じ白血病の子供達の治療に使ってほしいと願いました。実際、そのお金は既に7人の子供達の命を助けました。
中国の農村部では年金や保険の制度はまだ未整備です。僕が日本に来るまでは「計画経済」が厳密に実行され、大した薬はありませんが、農村部でも医療費はほぼ無料でした。
完全に市場経済に移行した今、市場経済の恩恵を受けていない内陸の農村部では重い病気になると直す余地がありません。経済原理で動いている病院はかわいそうだからといっても治療費のない患者を受け付けません。
中国の農村の中でも激しい格差があります。上海や広州に近い農村には都会よりも裕福な農家があります。また、多くの新興企業はもともと農民達が自分の用地と人手で創業されたものです。ハイアールはその代表格です。
一人当たりの平均収入においては上海は貧困地域の50倍以上だと聞いています。
「女の子」の話はこのような格差社会の背景下で起きています。
遺体となった彼女の小さな足に生まれてはじめて靴下が履かれました。白い靴下でした。そのうえに赤い革靴を履かれました。これは彼女が生前によく想像した白雪姫の服装だそうです。彼女の口元に微笑がありました。
******************************************************(ここまで)
もし、神様が居るとして、何のためにこんな小さな命にここまで過酷な試練を与るのか? そしてこの子は僕らに何を教えてくれているのか?
この話を聴いて、胸が張り裂けそうです……。
どんな過酷な状況の中でも、人から愛され、人を愛すことの幸せがどれだけ尊いものなのかを考えさせられました。今ある幸せに感謝をして、自分を選んで生まれて来てくれたわが子を愛し抜きたいと、素直に思えます。
僕は今まで目に見える幸せばかりを追い求めて、肝心な目に見えない幸せを忘れていないかって、そんなメッセージを受け取りました。今こうして自分が存在していることに感謝をします。そして、このストーリーに出てくるお父さんのように心優しい人になりたいです。
井上さん、ありがとう!!
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2007年02月01日 03:02 |日記 | トラックバック(14) |コメント(2)