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2020年2月10日「どうしても行きたい高校なんですよね~」

先週6日に行ったのは山形県立酒田西高校さんです。
実は山形の県立高校さんには、毎年行かせていただいているんですよね~。
そしてなぜ、行きたいのかって言うと、もう10数年以上前ですかね、一人の先生とのご縁を頂いたからなんです~。

きっと、先週の酒田西高校の生徒のみんなも見てくれてるかもしれないから、素敵な先生との出会いとご縁の事を書いておこうね

2002年にメルマガ「テーマパークが私の学校」をぜひ本にしたいんだと、こう書房の編集の岩崎さんが突然メッセージをくれて、他にもいくつかの出版社の方から連絡を受けたんですが、一番早くに連絡してくれたのと、当時のこう書房さんの会社に行って、出会った岩崎さんが、僕のイメージしている編集者さんそのもので、ガリガリの不健康そうな顔つきと、ヨレヨレのワイシャツに黒い手首から肘までかぶせるやつを付けて、出てきたんですよね。会社も神楽坂の雑居ビルで、隙間風のぴゅーぴゅーするような事務所でした。

ほんとやべえなって思ったけど、連絡をくれた編集の岩崎さん、話をするとほんとに本が好きで、編集の仕事が大好きで、目を見たらもういっちゃってるんですよね。完全にスイッチ入ってる人だったんです。
だからもう、他の出版社はいいやって思って、岩崎さんに全部お任せしてみようって事で、「社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった」が生まれました。

もちろんその時は、自分の書いたものが本になって書店に並ぶなんて、夢にも思ってなくて……。ただただ、言われた通りにやっていたら、それを読んでくれた人が、友達や仲間に紹介してくれて、今のようにSNSなんて無いから、完全に口コミだけ(お金が無いから宣伝できないもんね)で、10万人の人が買ってくれて、今では22万部を超えてまだ書店においてもらえるってほんとに奇跡です。もう感謝しかないですよね。

そんな感じで、山形の一人の先生が、僕の本を読んでくれたんです。
それが、当時、鶴岡南高校だったかな、関先生との出会いの始まりでした。

関先生はちょっと変わっている数学の先生(笑)。
何がどう変わってるかは、西校の生徒のみんなが知ってるから、ここには書かないけど、図鑑のページとしては加賀屋博士といっしょなページの感じね(笑)

そして関先生は何を想ったのか、本に載っている住所を頼りに、遠く山形から自分の休みを使って東京へ
そして僕の会社の事務所を訪ねてくれたんです。

「あっ、香取さんですか?」
「はい、香取です」
「本物の香取さんなんですね~」
「えっ偽物が居るんですかぁ(笑)」

「僕は山形の県立高校で教師をさせてもらっている関と言います。
実は香取さんにどうしてもお願いがあって来たんです」
「あぁ……はい」

「香取さん、僕の学校の生徒に香取さんの話を聞かせたいんです。
山形まで来てもらえないですか?」
「そりゃ、もちろんご依頼があれば、そして僕みたいな出来損ないで良ければ行きますよ」
「ほんとですか 来てくれるんですか。嬉しいなぁ。
山形の片田舎なんかに行くわけねぇだろって言われたらどうしようかと思ってまして……」

(俺のイメージはどんな奴なんだよ(笑))

関先生の話を聞いてみると、もっとびっくりなのが、まだ学校に僕を呼ぶことも、生徒さんに向けての講演会をする予定もないと……。でも、香取さんがOKしてくれたら必ずやりますから、どうしてもうちの生徒に話を聞かせたいんですと。

もう、関先生の熱意にびっくりです。
自分の子供ならまだしも、自分の生徒にという想いだけで、山形から自分の時間を使ってきてしまうその熱意が凄いですよね。こんな先生に教えてもらえる生徒さんって、ほんとに幸せなんじゃないかなって思いました。

そして話は事務的な事に。

「……それでですね。香取さん、講演料なんですが……いくらぐらい用意すれば……」

一応、学生の方向けの講演料をお伝えし、それプラス羽田からの飛行機代なんですよねって事をお伝えすると一瞬の間があってから

「……わかりました。
大丈夫です。きちんとお支払いしますんで。すぐに学校に戻って改めて依頼させてもらいます」

でも、関先生の表情を見てすぐにわかりました。

「先生、先生の学校は県立高校だから、なかなか予算がないので難しいんじゃないですか?
難しければ、遠慮なく言ってもらっても大丈夫ですからね」

「いや、香取さん、大丈夫です。
もちろん県立高校なので、予算的には厳しいものもありますが、なんとかなると思いますし、絶対に何とかしますから

あんまり無理なさらないでくださいねと伝え、それから数週間が経った頃、関先生からお電話をいただきました。

「香取さ~ん
先日はありがとうございました。
学校に掛け合って、無事に予算通りましたので、この日に来てもらえますか?」
「おぉ~先生ありがとうございます。
了解しまいた。必ず行きますね~」

そして当日を迎えるまでに、どうしてもあの日の会話のあの一瞬の間が気になってしまい、関先生にお電話をしてみました。

「先生、ちょっと気になっている事があるんですよ~」
「えっ、なんですか?」
「言いにくいんですが、学校の予算が通ったって言っていたじゃないですか?
ほんとは、どうなんでか?」
「……えっ、ほんとはって……、大丈夫ですよ香取さん、ちゃんと支払えますから」

「いや、そういう事ではなくて、もしかして、足りない分を先生が自分で出そうって思っているんじゃないかなって思いまして」
「……香取さん、そっそんなわけないじゃないですか~あははは~(笑)」

声を聞いてわかりました。
先生は足りない分を自分が出そうって思っていたんです。

「先生、失礼ですが、公立高校の教師のお給料がどれぐらいなのかってのもある程度わかってます。それに公立高校の場合の予算もある程度わかってます。それに、最初から決まっていた講演会に僕を選んでくれたのならまだしも、勝手に僕を決めて講演会を設定したんですよね。そんな中で、こんなに早くに決まるのもおかしいなあって思ってまして……。
正直に言ってください。足りない分を先生が自ら支払おうってお考えじゃないですか?」

「……」
「やっぱりですね。先生の生徒さんを想う気持ちは十分わかりました。
でも、先生が足りない分を払うのは受け取れないですよ。もちろん、行きますし講演もさせてもらいますよ。でも、先生個人からいただくのはちょっと……」

「……バレてましたか……。
でも、それじゃあんまりにも申し訳なくて……
……あっ、そしたら、香取さんメロンって好きじゃないですか?」

「はっメロン……?
まぁ、大好きですよね……」

「良かった~
実は私の実家はメロン農家なんですよ。
山形の庄内メロンって結構有名なんですよ。
そしたら香取さん、講師料の足りない分はメロンを送ります。それでどうですか」

「メロンっすか(笑)
いいですね~。先生、面白いですね。わかりました今回は物々交換で行きましょう(笑)

そして、ここから10数年毎年関先生からメロンを送っていただいています。
ほんとにありがとうございます。

誤解を招かないように言うと、講師料は毎年ちゃんといただいていますが、関先生からは美味しいメロンも送っていただいています。いつもありがとうございます。

そして、関先生の学校で出番を頂くのですが、自分が16歳の時と比べると、ほんとに素直でいい生徒さんばかりです。関先生をはじめ、関わる先生方の熱意があったかくて、あの先生方に教えてもらっている生徒さんは、こんな風に素直に優しくさせるんだなぁって思います。

今回も酒田西高校さんでしたが、その1年生たちはみんな真剣に僕の話を聞いてくれて、素直に理解をしてくれているのが、みんなの顔つきからわかります。彼らが卒業後に社会に出るまでに、素敵な会社やお仕事ばかりで迷っちゃうよねって言う世の中を創らないとですね。

また来年も楽しみにしてま~す(^^♪
関先生、酒田西高校のみんな、ありがとう~(^^)/

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