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「情緒的サービスは感性。その感性を高める為に‼」

昨日は、サービスは提供する時と消費する時が同時なので、その場の勝負。だからこそ、個々の感性が必要なのだと言うことをお話ししました。
今日はその感性を高める為に、どうしたら良いのかを僕の体験を元に具体的に書いてみます。
日々色々な事が起きるサービスの現場で、感性を磨くためには、これまであったいい話や、伝説になるようなサービスであったり、とにかく“相手の立場に立って行ったサービスの事例(物語、エピソード)”を、リーダーや先輩が数多く話す事です。
当時16歳で入社したディズニーランドでのアルバイト。当然サービスは相手の立場に立って行おうと言う事は言われた経験はあります。しかし、不真面目な自分は、『そんな超能力者じゃねぇんだから、話もしねぇで他人の気持ちなんて分かるわけねえじゃねか』と、相手の気持ちなんて考えた事なんてありません。それまで自分さえ良ければそれでいいと思って来たし……。
だから当時の自分にとっては、お客様=待ち時間でしかなかっし、それが多いか少ないか……。お客様がどんな気持ちで来てくれて、今どんな気持ちで待っているのかなんて想像した事もなかったんです。
そんな時に、当時のリーダーが朝礼で話してくれた伝説のサービスの話は衝撃的でした。
「みんなお子様ランチのエピソードってきたことある?」
「……」
「よし、そしたら今日はこのお子様ランチのエピソードを話そうね。
これはちょっと前に、レストランのキャストが実際に起こしたサービスなんだけど、その日は日曜日、彼女は土日に働いてる学生のアルバイトでね、担当がそのテープルサービスのレストランのウエイトレスの役。
昼時になって、お店の中は結構な混み具合でね、当然やる事も多く、担当のテーブルで注文を取ったり、食べ終わった皿を下げたり、出来上がった料理を運んだり、それはもう忙しいんだよ。
そんな時に、彼女が担当したのがご夫婦だったんだ。席まで案内をして、メニューをお出しし『ご注文がお決まりになりましたらお知らせ下さい』そう言って他の作業をしていた。
さっきの、ご夫婦の奥様の方が手を上げて『すみませ〜ん』って、直ぐに注文を取りに行ったんだ。
『お待たせしました。ご注文お伺いします』
すると、その奥様が、『私のはコレで、この人(向かいに座ってる旦那さん)のはコレをお願いします』『かしこまりました。ではご注文を繰り返します』って言おうとしたら、奥様の方がその言葉を遮るように
『あっ、後コレもいい?』ってメニューを指さしたんだ。彼女が指の刺されたメニューをみると、“お子様ランチ”だったんだ。
見たところご夫婦2人、お子様の姿はないので、お断りしないといけない。ちなみにお子様ランチは子供用のメニューで、小学生以下の方以外はお出しできないんだよね。
彼女は直ぐにその説明を始めたんだ。
『お客様、大変申し訳ございません。お子様ランチはお子様のメニューになっておりまして……』
そしたら、その解答を遮るように、『あだやっぱりそうよね。ごめんなさい。このお子様ランチはいいからさっきの私達の頼んだメニュー、よろしくね』って奥様が言われた。
彼女は言われた通り、先程のご夫婦2人のメニューを通して、『出来上がりまでしばらくお待ちください』頭をさげて他の業務へ向かったんだけど……。
やっぱこの彼女、スイッチ入ってるよね。
その後、作業をしている間、心の中で考えるんだよ。
(さっきの、お客様はなぜお子様ランチなんて頼んだろ……)そんな事を考えてると色々想像したんだろうね。ある考えが頭をよぎるんだよ。
(もしかしたら、ホントはお子様も一緒に来てて、今はおじいちゃんやお婆ちゃんと何か違うものを利用してて、後でココで合流なのかな? それならお出しすることもできるし、私その事を確認していないじゃない)って‼
そして、今やってる作業を止めて、もう一回そのご夫婦の所に行くんだよ‼
みんな、自分だったらどうかね?
彼女のように考えれたかな?
正直、自分だったら……。考えたかもしれないけど、目の前の作業もあるし、他に待ってるお客様も大勢いる中で、もう一度あのご夫婦の所に確認しには行かなかったんじゃないかと思うよ……。
だから、やっぱり彼女はすごいよね。」
ここまで聞いていた僕も、俺だったらきっと『お子様ランチ食いてぇのか、残念‼』って何もアクションはしないなと思いました。
「そして彼女は先程のご夫婦の所に行き『先程は確認しなかったのですが、もしかしてお子様もご一緒されていて、後でココで合流したりとかするんでしょうか?
それなら、お子様ランチもお出しする事ができるので?』
それを聞いた奥様が、いやいや子供なんていないわ。見ての通り私達夫婦2人だし……。
なんかごめんなさいね。あなたに気にさせてしまったみたいね。大丈夫よ。お子様ランチはいいから……』
それを聞いた彼女だけど、話している奥様の表情が気になって思わず『どうかなさったんですか?』って聞いたんだよね。
後で聞いたんだけど、なんで彼女はそう言ったのかって聞いたら、彼女は一瞬お客様の顔が曇ったって言ってたよ。スゴいでしょう〜。
そして奥様がココで彼女に、心の声を話してくれたんだよ。
『実はね、私達は見ての通り、ディズニーランドが大好きでね。今生きてれば6歳になる息子がいたの……。もう、その子がお腹に居る時から、産まれたら毎年誕生日はディズニーランドで祝おうって決めててね……。だから、今日もその誕生日だから、6歳ならこのアトラクションに乗るのかなぁ?とか、こんなおもちゃ買うんのかなぁとか……。だから、レストランでもきっとお子様ランチを食べるんじゃないかって話になってね、一応ダメ元で聞いてみたの……。ほんと変でしょっ。ごめんね。楽しい場所で、こんな話をして……。』
それを聞いて彼女は、『わかりした。ちょっと待ってて下さい』そう言って、マネージャーに相談に行ったんだよ。
こんなお客様が居ます、なんとかこのお客さまにお子様ランチをお出ししたいと頼んだんだ。マネージャーもすごくてね、よくこんなに忙しい中で、そのお客様の話を聞いてきてくれたね、よし、お子様ランチをお出ししよう。ってなって、注文を通してくれたんだ。
お子様ランチが出来上がったとき、彼女はマネージャーに呼ばれて、『あなたが聞いてきてくれたから、あなたが出して差し上げなさい』って彼女に託した。
彼女は嬉しくて、喜んでお子様ランチを出して差し上げる。
『お待たせしました。こちらが旦那様の頼まれたものです。そしてこちらが奥様の……。お子様ランチはこちらでよろしいでしょうか?』そう言って、奥様の横に出したんだ。
更に彼女は、奥様の横の椅子を、持ってきていたお子様用の椅子と差し替えて、最後にこう言ったんだって。
『この後も3人でごゆっくりお楽しみください』
どう、やるでしょぅ〜。
それを、してもらったご夫婦はたいへん喜んでね、何度も何度も、涙を流しながらお礼を言ってくれたんだって‼
どう、スゴいよね。
もしかしたら、今日も僕らの目の前に居るお客様の中には同じような人が居るかもしれないよね。だから、手を抜かずに、一生懸命にやろうね‼」
こんな風にリーダーが朝礼で伝説のサービスの事例を話してくれるんです。どうですか、この話を聞いた当時の僕の中に、引き出しができるんです。
そうか、そんな人がいるのかと、俺も同じようにやってやろうって。
その日から僕はお子様ランチを出せる人を探すわけです(笑)
このように、伝説のサービスや実際にあった、そのお店施設ならではの、事例を具体的に聞くことで、聞いたスタッフの心の中に、相手の立場に立って考え行動するのはこういう事なんだって言う引き出しが増えていくわけです。
この引き出しが増えれば増えるほど、感性が磨かれ、現場に立った時、本当のサービスを実現できるんだと思うんです。
これが、相手の立場に立って考えろで終わるのではなく、具体的なエピソードとして絵に書いたように疑似体験させるってことなんですね‼