Monthly Archives: 1月 2019

「迷ったら何で判断するのか」

仕事をしていると、現場であれ経営であれ、判断に迷うことって、ないですかね。
例えば、お客様が喜んでくれて、売上が上がることは迷わないし、逆にお客様が喜んでくれなくて、売上も上がらないのであれば、それはやらないって判断がつくと思うんです。
しかし、判断に迷うのが、お客様が喜んでくれるけど、すぐには売上に直結しない事と、お客様はそんなに喜ばないかも知れないけど、すぐ売上に直結するような事は、どっちを選んだらいいのか?
ココの優先順位を明確にしていないと、現場は判断に困ってしまったりするんですよね。
当然その状況を、一つひとつ明確にして、『この場合はこっち、その場合はあっち』ってできないし、お店であれば創業者がひとりでやっている時には、その人の判断でやればいいから迷わないんですが、そこからお店も大きくなって、授業員も増えれば、皆がみんな創業者や経営トップと同じ考え方で同じ判断基準をもって動けるなんて魔法はないわけで、どうしたらいいのかって事に、なるんですが。
僕がお世話になっていたTDLはココがすごかったんじゃないかなって思うんです。
現在2つのパークがあって、従業員の数は約2万人ぐらいだそうです。そのうち僕のようなアルバイトは約9割なので、その全員が同じ判断基準で動くためには、皆さんよくご存知のディズニーの行動基準ってのを、入社初日に教わるわけです。
詳しくは、また書きますけど、4keyと行って、迷ったらコレを思い出して行動してくださいってものなんです。
これを入社初日のオリエンテーションで学んで、現場のOJTでもトレーナーから教わり、最後に行うチェックリストで確認し、その後のフォローアップでも何度も何度も出てくるわけです。
なので僕らアルバイトでも、繰り返しの中で刷り込まれ、判断に迷った時にはこれを思い出して行動できるわけです。
ただ、これだけけで全員が同じようにできるわけでもないと思うんです。あくまでも同じ判断をする為の、やりやすい方法のひとつであって、この行動基準があることで昨日入社したばかりの新人でも判断しやすいものだと思うんです。
ココに創業者の想いや、なんの為にの目的の所が、加わることで、行動基準がより効果を上げるものになるだと思います。
例えば、僕がそうだったんですが、TDLはディズニー社直営ではなくて、日本の運営会社が行うフランチャイズなわけです。
だから僕ら従業員はディズニー社の従業員ではなく、運営会社の従業員なんです。当然、その会社にも経営理念と言うなんの為にが存在するわけですが、僕がお世話になっていた8年間、一度もこの経営理念は聞いたことがなかったです……(俺が聞いてないだけかもですが(笑))。
多分ですけど現場のキャストに
『あなたの会社の経営理念はなんですか?』って聞いてもはっきり答えられるキャストは少ないんじゃないかなと思うんです。
でも、反対に
『ディズニーランドを創ったのは誰ですか?』
って、聞かれたら2万人の従業員全員が“ウォルト・ディズニー”ですって答えるだろうし、『そのウォルトさんはなんでディズニーランドを作ったんですか?』って質問すると、
「それはですねぇ〜。
昔ウォルトがお休みの日に、娘を連れて遊園地に行ったそうです。
娘がメリーゴーランドに乗って楽しそうにしてる姿を、ウォルトはメリーゴーランドの前のベンチに座って、ピーナッツをかじりながら、娘が通るたびに手を振り眺めていたです。
どうして大人も一緒に乗って楽しめないのかなぁ……。一緒に乗れたらもっと楽しいのに……。
それに、遊園地は楽しい場所のはずなのに、ゴミ箱からはゴミが溢れて、トイレはいつ行っても汚いし……。
もっと大人も子供も一緒に楽しめて、気持ちよく過ごせるそんな遊園地を誰か造ってくれたらいいのに……。そうか、誰も創らないなら僕が作ろう‼ そう考えて創ったのがディズニーランドなんです」
と言う回答を、2万人のキャストほぼ全員が同じように話をすると思うんです。
ココが僕は凄いんじゃないかなと、全員が同じように話せるぐらい創業者の創業の想いを、何十年経った今でもアルバイトが答えられるぐらいにわかりやすいエピソードで、入社の最初に教わります。その後も事あるごとに、ウォルト・ディズニーの残した、言葉なんかが、受け取る資料や色んな場面で目にします。
もうひとりひとりが創業者の分身みたいに。
コレは、日本を代表する老舗の企業でも同じじゃないかなって感じます。
そのベースがあって、創業の理念から導き出された行動基準があるので、鬼に金棒でヤンキーだった僕みたいなバイトでも理解し行動ができたんだと思います。もう、ウォルトのファン、信者ですね(笑)
そして僕が一番驚いたのは、アメリカのディズニーランドのキャストと話をした時に、質問した答えでした。
「現場で究極判断に迷った時には、何を基準に判断してる?」
「それは、自分の後ろにウォルト・ディズニーが居たとしたら、これからやることは振り向いた時に、ウォルトにグッジョブって笑顔で言ってもらえるかどうかかな‼」
実はこれ、僕も同じだったんですっ‼
別にそう考えろなんて教わったわけじゃないんですよ。全く同じ答えに鳥肌が立ちました。
その後も他の国のディズニーキャストに同じ質問を投げかけましたが、僕が質問したキャストはみんな同じ答えでした。
創業者はこの世にいなくても、その想いが今にも伝わるその仕組みが、ディズニーの凄さなんじゃないかなって思います。
皆さんの会社でも、創業当時の創業者の想い“なんの為に”を伝承して行けたらいいですよね〜\(^o^)/

「情緒的サービスは感性。その感性を高める為に‼」

昨日は、サービスは提供する時と消費する時が同時なので、その場の勝負。だからこそ、個々の感性が必要なのだと言うことをお話ししました。
今日はその感性を高める為に、どうしたら良いのかを僕の体験を元に具体的に書いてみます。
日々色々な事が起きるサービスの現場で、感性を磨くためには、これまであったいい話や、伝説になるようなサービスであったり、とにかく“相手の立場に立って行ったサービスの事例(物語、エピソード)”を、リーダーや先輩が数多く話す事です。
当時16歳で入社したディズニーランドでのアルバイト。当然サービスは相手の立場に立って行おうと言う事は言われた経験はあります。しかし、不真面目な自分は、『そんな超能力者じゃねぇんだから、話もしねぇで他人の気持ちなんて分かるわけねえじゃねか』と、相手の気持ちなんて考えた事なんてありません。それまで自分さえ良ければそれでいいと思って来たし……。
だから当時の自分にとっては、お客様=待ち時間でしかなかっし、それが多いか少ないか……。お客様がどんな気持ちで来てくれて、今どんな気持ちで待っているのかなんて想像した事もなかったんです。
そんな時に、当時のリーダーが朝礼で話してくれた伝説のサービスの話は衝撃的でした。
「みんなお子様ランチのエピソードってきたことある?」
「……」
「よし、そしたら今日はこのお子様ランチのエピソードを話そうね。
これはちょっと前に、レストランのキャストが実際に起こしたサービスなんだけど、その日は日曜日、彼女は土日に働いてる学生のアルバイトでね、担当がそのテープルサービスのレストランのウエイトレスの役。
昼時になって、お店の中は結構な混み具合でね、当然やる事も多く、担当のテーブルで注文を取ったり、食べ終わった皿を下げたり、出来上がった料理を運んだり、それはもう忙しいんだよ。
そんな時に、彼女が担当したのがご夫婦だったんだ。席まで案内をして、メニューをお出しし『ご注文がお決まりになりましたらお知らせ下さい』そう言って他の作業をしていた。
さっきの、ご夫婦の奥様の方が手を上げて『すみませ〜ん』って、直ぐに注文を取りに行ったんだ。
『お待たせしました。ご注文お伺いします』
すると、その奥様が、『私のはコレで、この人(向かいに座ってる旦那さん)のはコレをお願いします』『かしこまりました。ではご注文を繰り返します』って言おうとしたら、奥様の方がその言葉を遮るように
『あっ、後コレもいい?』ってメニューを指さしたんだ。彼女が指の刺されたメニューをみると、“お子様ランチ”だったんだ。
見たところご夫婦2人、お子様の姿はないので、お断りしないといけない。ちなみにお子様ランチは子供用のメニューで、小学生以下の方以外はお出しできないんだよね。
彼女は直ぐにその説明を始めたんだ。
『お客様、大変申し訳ございません。お子様ランチはお子様のメニューになっておりまして……』
そしたら、その解答を遮るように、『あだやっぱりそうよね。ごめんなさい。このお子様ランチはいいからさっきの私達の頼んだメニュー、よろしくね』って奥様が言われた。
彼女は言われた通り、先程のご夫婦2人のメニューを通して、『出来上がりまでしばらくお待ちください』頭をさげて他の業務へ向かったんだけど……。
やっぱこの彼女、スイッチ入ってるよね。
その後、作業をしている間、心の中で考えるんだよ。
(さっきの、お客様はなぜお子様ランチなんて頼んだろ……)そんな事を考えてると色々想像したんだろうね。ある考えが頭をよぎるんだよ。
(もしかしたら、ホントはお子様も一緒に来てて、今はおじいちゃんやお婆ちゃんと何か違うものを利用してて、後でココで合流なのかな? それならお出しすることもできるし、私その事を確認していないじゃない)って‼
そして、今やってる作業を止めて、もう一回そのご夫婦の所に行くんだよ‼
みんな、自分だったらどうかね?
彼女のように考えれたかな?
正直、自分だったら……。考えたかもしれないけど、目の前の作業もあるし、他に待ってるお客様も大勢いる中で、もう一度あのご夫婦の所に確認しには行かなかったんじゃないかと思うよ……。
だから、やっぱり彼女はすごいよね。」
ここまで聞いていた僕も、俺だったらきっと『お子様ランチ食いてぇのか、残念‼』って何もアクションはしないなと思いました。
「そして彼女は先程のご夫婦の所に行き『先程は確認しなかったのですが、もしかしてお子様もご一緒されていて、後でココで合流したりとかするんでしょうか?
それなら、お子様ランチもお出しする事ができるので?』
それを聞いた奥様が、いやいや子供なんていないわ。見ての通り私達夫婦2人だし……。
なんかごめんなさいね。あなたに気にさせてしまったみたいね。大丈夫よ。お子様ランチはいいから……』
それを聞いた彼女だけど、話している奥様の表情が気になって思わず『どうかなさったんですか?』って聞いたんだよね。
後で聞いたんだけど、なんで彼女はそう言ったのかって聞いたら、彼女は一瞬お客様の顔が曇ったって言ってたよ。スゴいでしょう〜。
そして奥様がココで彼女に、心の声を話してくれたんだよ。
『実はね、私達は見ての通り、ディズニーランドが大好きでね。今生きてれば6歳になる息子がいたの……。もう、その子がお腹に居る時から、産まれたら毎年誕生日はディズニーランドで祝おうって決めててね……。だから、今日もその誕生日だから、6歳ならこのアトラクションに乗るのかなぁ?とか、こんなおもちゃ買うんのかなぁとか……。だから、レストランでもきっとお子様ランチを食べるんじゃないかって話になってね、一応ダメ元で聞いてみたの……。ほんと変でしょっ。ごめんね。楽しい場所で、こんな話をして……。』
それを聞いて彼女は、『わかりした。ちょっと待ってて下さい』そう言って、マネージャーに相談に行ったんだよ。
こんなお客様が居ます、なんとかこのお客さまにお子様ランチをお出ししたいと頼んだんだ。マネージャーもすごくてね、よくこんなに忙しい中で、そのお客様の話を聞いてきてくれたね、よし、お子様ランチをお出ししよう。ってなって、注文を通してくれたんだ。
お子様ランチが出来上がったとき、彼女はマネージャーに呼ばれて、『あなたが聞いてきてくれたから、あなたが出して差し上げなさい』って彼女に託した。
彼女は嬉しくて、喜んでお子様ランチを出して差し上げる。
『お待たせしました。こちらが旦那様の頼まれたものです。そしてこちらが奥様の……。お子様ランチはこちらでよろしいでしょうか?』そう言って、奥様の横に出したんだ。
更に彼女は、奥様の横の椅子を、持ってきていたお子様用の椅子と差し替えて、最後にこう言ったんだって。
『この後も3人でごゆっくりお楽しみください』
どう、やるでしょぅ〜。
それを、してもらったご夫婦はたいへん喜んでね、何度も何度も、涙を流しながらお礼を言ってくれたんだって‼
どう、スゴいよね。
もしかしたら、今日も僕らの目の前に居るお客様の中には同じような人が居るかもしれないよね。だから、手を抜かずに、一生懸命にやろうね‼」
こんな風にリーダーが朝礼で伝説のサービスの事例を話してくれるんです。どうですか、この話を聞いた当時の僕の中に、引き出しができるんです。
そうか、そんな人がいるのかと、俺も同じようにやってやろうって。
その日から僕はお子様ランチを出せる人を探すわけです(笑)
このように、伝説のサービスや実際にあった、そのお店施設ならではの、事例を具体的に聞くことで、聞いたスタッフの心の中に、相手の立場に立って考え行動するのはこういう事なんだって言う引き出しが増えていくわけです。
この引き出しが増えれば増えるほど、感性が磨かれ、現場に立った時、本当のサービスを実現できるんだと思うんです。
これが、相手の立場に立って考えろで終わるのではなく、具体的なエピソードとして絵に書いたように疑似体験させるってことなんですね‼

「相手の立場に立ったサービスの実現には⁉」

昨日の“サービスは相手の立場に立って”の続きです。ちょっと具体的に相手の立場に立ったサービスについて考えてみようと思うんですが、その前にサービスの本質について、昔志匠鬼澤さんに教わったのは、サービスは感性なんだよということでした。
例えば、製品とサービスの違いを考えてみるとわかりやすいです。
大きな違いは、製品は提供する時とそれを消費する時にタイムラグがあり、サービスは提供する時と消費する時が一緒だと言うことです。
レストランを例にして考えてみると、お客様がハンバーグランチと言う商品(製品)を注文したとします。しかし提供したのがハンバーグランチではなく、エビフライ定食が出て来たら……。まだ消費されていないので、『これ違います』となり、『ません。直ぐに新しい物をお持ちします』と、交換ができるわけです。
反対に僕らが行うサービスはどうでしょう?
同じように、レストランでお客様が来店されたら、笑顔でいらっしゃいませと言う挨拶のサービスがあるとしましょう。
しかしココで、ウエイターのバイトが、当時の俺みたいな輩でお昼どき、もの凄いお客様の数でとても忙しいような状況の中、オーナーや経営者はその状況は嬉しいわけですが、時給で働くバイトの俺は、同じ時給なら暇な方がいいわけです(笑)
それなのに忙しいのでちょっとイライラしながら、来店されたお客様に挨拶をします。
(ったく、なんでこんな忙しいんだよ……
あっまた客入って来やがった……
見りゃわかんだろ、混んでんだから他行けよっ……心の声)
そしてそこに偶然入ってきたお客様に挨拶をします。
「…チッ、いらっしゃいませ(●`ε´●)」
これにお客様も怒ります。
「お前、今の態度はなんだっ‼」
「ハッ、普通ですけどっ」
「ふっ普通、今、舌打ちしてからいらっしゃいませって、全然いらっしゃいなんて思ってないだろっ‼」
「…思ってますよっ」
「いや思ってないよ。お前じゃ話にならん、上のやつ読んでこい‼」
とっ、ココで店長登場です。
「お客様、申し訳ありません。どうなさったでしょうか?」
「どうもこうもあるかっ‼
アイツの態度は何なんだっ‼
俺たちが入ってきたら、にらむようにして、舌打ちしていらっしゃいませって言ったぞっ‼
店の教育はどうなってんだっ‼」
「それは申し訳ありませんでした。それではお客様、直ぐに新しいいらっしゃいませをご用意いたしますので、もい一回お店に入って来ていただけますか?」
どうですか?
コレはもうコントですよね(笑)
商品や製品はそれを作って提供し、お客様が消費するまでにタイムラグがあるので、もし間違いや不良があれば交換ができるんです。
でも反対にサービスは、僕らが提供した時が、お客様がそのサービスを消費する時になるんです。提供と消費が一緒なんです。
だから、サービスは難しいわけです。
やり直しができないうえに、お客様がそれぞれ求めているものが、人によってもその状況によっても違います。
それら不安定な中で、目の前のお客様をみて、自ら考え行動しなければならないので、これはまさに感性の勝負なのです。
鬼澤さんが教えてくれました。サービスは個々が自ら判断して動くので、スポーツ言うと、サッカーとかラグビーに近いんだと。
チームで行うスポーツですが、試合が始まれば監督やコーチが途中で試合を止められないし、色んな状況局面において、自分で考え動かなくてはイケない。チームは同じ方向を向きながらも、個人で考え判断する、その感性を磨かなくてはダメだと。
これはサービスも一緒です。
では、この感性を高める為に、どうしたらいいのかと言うと、それは体験学習なんです。
サッカーであれば、個々の練習も大切ですが、チームとして個々が機能しなくては勝てない。たから、感性を磨くために何度も何度も、チームみんなで同じ試合のVTRを観て、なぜこの時に、お前はこっちに動いたんだと、俺はこうだから、こうしたんだけど……なんて、意思疎通を繰り返しながら、実際の練習を繰り返し、個々が息を合わせて動けるようになるんだと。
だからサービスも感性なんです。
それぞれの感性を磨くしかないわけです。
相手の立場に立って考えるには、高い感性が必要です。
そこで必要なのは、いい話、これまであった心温まるサービス、伝説のサービスと言った事例を、リーダーが語る事なんです。
これが昨日言っていた事です。
長くなってきたので、明日はいい話や伝説のサービスの話が、聞き手にどう影響するのか、どう感性が高まるのかって話を書きましょうね‼