Monthly Archives: 1月 2020

2020年1月27日「子供達が道端にゴミをすてない理由」

ちょっと前に、銀行の行員さん向けに講演の出番を頂きました。
担当者の方から、現在の銀行は、サービス業としてお客様に向き合い、お客様から選ばれる銀行にならないといけないんですよねって話を聞きました。
確かに金融ではあるけど、他にも銀行もあるし、もっと言ったら今後電子マネーの世の中になれば、ネット上でのお金の動きになって銀行の役割はほかのものに変わってしまいますもんね。だからこれからも銀行を必要としてもらえる為に、お客様との関係を密にしていきたいと言う事で出番をもらいました。
銀行のサービスで言えば、金利が上がるのが一番いいんでしょうけど、今の世の中でお金を預けてても増えることもなく、銀行としては苦しい状況ですもんね。
って事で、いろいろと考えました。
銀行や信用金庫などが、自分の街にある意味はなんだろう。
そして、その金融機関があるからこそ、街が人が元気になることってあるのかな……。
見つけちゃいました。
そうなんですよね~。
実は昔、子供達と道を歩いていた時に、コンビニでたばことお菓子を買って出てきました。
僕の後ろでは、買ってもらったお菓子を子供達同士で、これは俺のって奪い合い……(笑)
そしてもらったレシートをポケットにしまったその後でした。
当時まだ小さかった長男が、僕に駆け寄ってきました。
「父ちゃん、父ちゃんって‼」
「うん(ふり返り)、何?」
「今父ちゃんゴミを道端に捨てたでしょう」
「はっ、捨ててねぇよ」
「だって、ほら」
長男虎之介の手にはさっき僕がポケットに入れたと思ったコンビニのレシートが。
「あれ、それさっき父ちゃんがポケットにしまったんだけどね。
 あぁ、じゃあ落ちたんだよな、きっと」
「そんなこと言って、ほんとはポケットに入れるふりして、ポイ捨てしたんじゃないの~」
「してねぇ~し、たまたま落ちたんよ」
「ほんと~(笑)」
息子に疑われるって……(-_-;)
でも、ちょっと不思議なことに気づいたんですね。
僕はこれまでゴミを道端にポイ捨てしてはいけないんだよって事を言い聞かせたことがないのに、なんで息子がポイ捨てはいけないことだと言う事を知ってて、ゴミを落とした親の僕に言ってきたのか。
きっと学校などで教わってはいるのかもしれません。
それでも息子が僕に言ってくるって事があるのかなと……。
そして翌日、朝移動の為に昨日僕がポイ捨て(してないんだけど)した場所を歩いていました。
すると、そこは自宅近くの信用金庫の前でした。
冬の寒い朝でしたが、スーツ姿の人たちが、軍手にゴミ袋を持って、信用金庫前の道や車道の脇、そして植え込みの中にあるゴミを拾ってくれていました。
考えてみると、そこの道は大通りに面していて、毎朝、晴れてようが雨だろうがゴミ拾いをしている信用金庫の人たちが居ました。そしてそこは小学校に通う子供達が通る通学路だったんですね。
やっと謎が解けました。
どうして、僕の息子がポイ捨てはダメだよって教えてないのにゴミを捨てないのか、そしてゴミを捨てた僕の所に凄い剣幕で迫ってきたのか。
そうだったんですね。
毎朝、学校に通う中で、あの場所を通りゴミを拾っている大人の人たちの後ろ姿を見ていたからなんです。
口でゴミのポイ捨てはダメだよって教えてもそれは口先の事です。毎日ゴミ拾いをしているその大人の後ろ姿やあり方が、ここにゴミを捨てないでって言う子供達に影響を与えているんですよね。
お客様に対するサービスも大切ですが、この信用金庫の人たちのように、毎朝ゴミを拾うその姿はきっと誰かがみていて、その見ている誰かに影響を与えます。だからこそ意味のない事なんてないんですよね。
それから僕は朝、その信用金庫の前を通るときに、ゴミ拾いをしてくださる皆さんに、感謝を込めておはようございますって挨拶をするようになりました。
僕らの大人の在り方が、子供達に影響を与えてますね(^^♪

2020年1月24日「すべらない話~そんなに喜んでくれるならもっとあげるよ~ん~」

これはもう10年前ぐらいの話です。
加賀屋くんと一緒にセミナーの出番をもらってて、一緒に帰ろうって時でした。
ちょうどその前に、面白い話を北川先生から聞いていたので、帰りの車の中で加賀屋くんにも話したんです。

「加賀屋、こないだね、北川先生から面白い話をきいたよ」
「え、なに?」
「神さんっておるじゃん、その神様が色々な奇跡やいい事を起こしてくださることがあるんだけどね。実は神様は、笑顔の人しか見えないんだって」
「えぇ~笑顔の人だけ
「そうなんだって、だから天から俺や加賀屋ことを見てて、笑顔だったりすると見えるから、神さんは嬉しくなってね。そうかそんなに人生楽しんでるのかって事で、もっと喜ばしてあげたくなって、奇跡や幸せを降らしてくれるんだって~」
「へぇ~そうなんだぁ~」

「らしいよ。だから、神さんがバチを与えるなんてことはほんとはないんだって。笑顔じゃない人、幸せそうではない人は見えないからね
「ほぉ~。そうなんだね。じゃぁ笑顔で居ないと神さまに気づいてもらえないんだ」

「うん、そうみたいだよ。だから、パチンコ屋さんに行って、出ろ出ろってしかめっ面の人は見えないから、出ないんだって(笑)。笑顔でやってたら出るんだよね~」
「ほんとに……。それはないでしょ」

「いや、これがほんとなんだよ。俺絶対に出るもんね」
「うそぉ~。絶対にないよ」
「よっしゃ、じゃぁ今からパチンコ屋で試そう、見ててみ絶対にでるから」

そう言って、加賀屋くんと二人でパチンコ屋さんへ

僕の座った横に加賀屋くんも座り、いざパチンコスタート
横に座った加賀屋くんは半信半疑で、僕の横でパチンコスタートします。

お互いに500円を入れてパチンコをしていると、早速僕の所にリーチっ

「ほら、見てろ加賀屋。ニコニコしてるから絶対にそろうぜ
「まかか~」
「……ほらキター
「……マジ……(-_-;)」
「なっ、キタろ。やっぱり神さんは笑顔の人しか見えないんよね。よし、帰ろう」
「えっ、まだ続きがあるよ」
「いいのいいの、神さんの話がほんとってわかればいいから」

そう言ってパチンコ屋を後に……。
加賀屋くんは目の前で起きたことにびっくりしてました。

そして数日がたったある日。
千葉を震源にした大きな地震になったんです。
TVからニュース速報で、千葉沖を震源にした大きな地震で、各地の震度が流れてきました。東京23区が震度3、浦安市が震度4。大きな地震だったなぁって思ってTVを見ていると、各地の被害状況が速報で流れます。

『……浦安市、負傷者1人……』
さっきの地震で怪我をした人がいるんだなぁって思ってました。

そして翌日、加賀屋くんとまた会うことに。

「加賀屋、昨日の地震結構揺れたよな大丈夫だった? なんかニュース速報で浦安市負傷者1人ってなってたもんね~」
「……香取、実はその負傷者……俺……」
「えぇぇぇぇぇぇ~」

「実はさ、こないだパチンコ屋に言ったでしょ。
それで、香取が神様は笑顔の人しか見えないとか言ってたじゃん、だから俺もさ笑顔でやってみようって思って、凄い笑顔でやってたんだよね。そしたらやっぱりそろったんだよ
「おぉ、でしょ~」
「でも、そこからが大変でね。
ほんとだって思って嬉しくて、もっとニコニコしながらやってたんだよね。そしたら昨日のあの地震……。
結構揺れたけど、777ってそろったから笑顔で揺れながらも打ってたんだよね。そしたらさ……」
「そしたら……」

「揺れが収まってしばらくしたら、天井から俺の頭にめがけてパチンコ玉が降って来たんだよ」
「えぇ~」
「そう、痛ててててぇ~ってなってね。他のお客さんなんか、俺の頭に当たって飛び散ったパチンコ玉を拾っててさ、痛いけどフィーバーしてるし、やめられないし、笑顔でやんないとって笑わないといけないしで……」
「なんで天井から球が降るの?」

「古いパチンコ屋さんだったからかな、天井に玉を通して各台におろしてたんだろうね、自身で天井にあったレールがずれて、そのパチンコ玉が溢れたやつが、ちょうど俺の頭の上の天井に集まって、そして重さに耐えられなくなって、俺の頭に直撃って事になったんだよね。それで、パチンコ屋さんはそのまま閉店。フィーバーした俺は、後日そこまで出ていた分の1回を清算しますんでって事で、一応大事を取って救急車で運ばれたんだよね~」
「……(笑) それで負傷者1人なんだ(笑)」

きっと神さんが天から覗いていて、加賀屋の笑顔がもの凄く嬉しかったんでしょうね。
そんなに球が出て嬉しいなら、もっと上げるよ~って降らしてくれたのかもしれませんね~(笑)

2020年1月23日「その仕事がどっかで誰かを幸せにしてるんだよ(携帯電話編)」

情緒的サービス(相手の心に耳を傾け行動する)の実現には、相手の立場に立って考えろではなく、具体的なエピソードを話してあげると、聞いている人たちにサービス事例の引き出しが増えて、さらに自社らしさのその“らしさ”のストライクゾーンがはっきりとしてくるよっていうお話をしてきましたが、今回は直接お客様と接することのないお仕事であっても、その先を想像するだけで自分の仕事がお客様の感動を創っているよねって事がわかるお話です。

これは以前、小さな小さな精密部品を作っている大きな大きな工場にお邪魔した時のお話。
初めて入ったこの工場で、いったい何を作っているのかを工場長に聞いてみました。

「香取さん、この工場ではね、凄く小さな部品を作ってるんですよっ
「ほぉ~、小さな部品ってどれぐらい小っさいんですか?」
「コレ見てぇ、わかるかな~」

そう言って工場長が虫眼鏡を渡してくれました。

そこにあったのは、この工場で作っている最も小さな部品で、ぱっと見ではチリのような細かいもので、虫眼鏡で見てみると、そのチリのよなもの一つひとつ全部が四角い小さな部品でした。

「うぁ、コレ凄いっすね~。虫眼鏡で拡大すると、ひとつひとつが全部ちっちゃい部品ですもんねぇ」
「そうそう、今見てもらったのはちょっと小さすぎるけど、基本は電子部品でね。世の中の電子機器の中に結構使われてたりするんだよね」
「へぇ~、こんなに小さいんですね。くしゃみしたら全部吹き飛びますよね(笑)」
「だから、作るスタッフはほんとに気を遣うんだよね~」

「この小さな部品って、例えばどんなものに使われてたりするんすか?」
「う~ん、そうだね。携帯電話に使われてたりするんだよ」
「おぉ~、そしたら俺のこのdocomoのガラケーにも使われてたりするんすか?」
「香取さんの持っている携帯に使われているかどうかはわからないんだけどね。うちの会社の部品かもしれないし、同じような部品を作っている会社のものかもしれないよね」
「そうだったんですねぇ~。なんか不思議ですね(笑)」

そんな会話をしながら、その工場のスタッフのみなさんの前で講演をさせていただきました。
無事に講演が終わって、工場長と話していると、面白いことに……。

「いや~、香取さん、お話最幸だったよ~」
「ほんとっすか~、ありがとうございます」
「香取さんが言ってた、いい話をしようって事はわかるんだけどさ、僕らのような工場の人間からするとあんまりいい話なんてないんだよね~」
「えぇ~そうなんですか? 探したらありそうですけどね」

「いやいや、反対に良くない話ならあるけどね(笑)」
「えっ、それどんな事っすか?」

「ほら、さっき講演前に話していたでしょ。僕らの会社はさ、携帯電話とかで使われている部品を作っててね。僕らが求められるのは、性能を上げながらも部品の大きさは小さく小さくしないといけないんだよね」
「おぉ~なるほど」
「ほら、昔の携帯電話ってものすごく大きかったりしたじゃない」
「はいはい、確かにデカかったっすよね~」

「あの大きな携帯電話が今ほど小さく高性能になるには、使われてる部品そのものが小さく高性能にならないと今のようにはならないわけでさ」
「そりゃそうですよね。部品が大きかったらこんなに小さくならないですもんね~。ほんとにあざっス(笑)」

「ハハハ~。香取さんは面白いね。
でもね、同じような部品を作っている会社は世界中にあるわけでさ、だから僕らの仕事はね、性能をよくしつつ、大きさも可能な限り小さくして、なおかつ使ってもらえるようにする為には値段も下げないといけないんだよね」
「う~ん、確かに……。
そうじゃ無かったら、僕らが普通にガラケーを持っていられないっすもんね」

「でね、香取さん。
僕ね、こないだの休みの日に嫁さんと買い物に行ってね。
そしたら、そこに100円ショップがあったんだよね。なんでも100円でこんなに種類があるんだって思ってみてたら、そこに爪楊枝があったんだよ。みたら一つのケースに爪楊枝がいっぱい入ってるでしょ、それで一体この爪楊枝1本はいくらなんだろうなって思って買ってきて、家で爪楊枝の数を数えたんだよ」
「ワオ。工場長暇ですねぇ~(笑)」

「でしょ(笑)
でも、そしたら本当にショックでね……。爪楊枝1本の値段が、僕らが作っている部品より高かったんだよ。
もうさ、ちょっと落ち込んだよね~( ;∀;)
どう、こんな話だといっぱいあるんだけね~。でもこれじゃあ、いい話にはならないもんね~(笑)」

「確かに工場長の言う通りすべらない話ならいいけど、それだとスイッチ入んないっすよね……」
「でしょう~(^^)」

「う~ん……。確かに値段で考えるとそうなりますかね……。

あっでも、俺ありますよ。携帯電話のいい話

「えっほんと?」

「はい、確かに値段で言ったらさっき工場長がしてくれた通り、部品ひとつの値段は安いのかもしれないんですけど、そのおかげで俺らも普通に携帯電話を持てるようになりましたもんね」
「まぁそうだよね~」
「そんで、うちの家族は俺も嫁も、婆ちゃんも同じ携帯電話を持ってるんすよ。昔で考えたら携帯電話はものすごく高価なものだし、家族みんなでなんて相当なお金持ちじゃないと持てないわけですもんねぇ。
それに高性能になって今は携帯でなんでもできるじゃないですか?」

「うんうん」

「それで思い出したんですけど、ちょっと前に息子の幼稚園で初めての運動会があったんですよね。
長男は婆ちゃんが大好きで、運動会の前から婆ちゃんに、かけっこがあるから絶対に見に来て応援して欲しいって約束してまして……、うちのおふくろはちょっと持病があるんで、今は離れた千葉の実家で療養かねて暮らしてるんですよ。それでも孫に約束されたから絶対に観に行くからねって事になってたんです。だから俺も息子とかけっこの練習をして、婆ちゃんに1等賞取るところを見せようぜなんてやってたんですよね~。
ところが、運動会の数日前になっておふくろから連絡が来たんですよ。

『貴信、ちょっと身体が辛いから今度の運動会はちょっと観に行けそうにないんだよね。ごめんね虎ちゃんにうまく伝えておいて』ってことで、そりゃ仕方ないし息子にうまく伝えるねって言って、息子に言ったんですが、息子もせっかく練習して頑張ってるのに婆ちゃん来ないのか……って残念がってたんですけど、父ちゃんがちゃんとビデオをとるから、頑張れって事で、運動会の当日を迎えたんです。

いよいよ息子のスタートの時、僕がビデオを構えていたら、そうだって気づいたんですよ」

「……何を……ですか?」
「さっき、僕らの家族はみんな同じ携帯電話だって言ったじゃないですか?
その携帯電話なんですよ。
今の携帯電話ガラケーは、TV電話ができるじゃないですか?
それに気が付いたんです

「おぉ~なるほど」
「もちろん、おふくろからTV電話はかけられないけど、かかって来た電話には出れるんですよ。だからすぐさま嫁にビデオカメラを渡して、そっからおふくろにTV電話をかけて実況生中継ですよ(笑)
最初、俺の携帯の画面は真っ黒でした。おふくろはそのまま電話に出てて、それで画面見て画面って伝えたら、そこには今かっけっこがスタートする孫の姿が映るんですよね。今、走るからここで応援してって伝えて、おふくろも携帯の画面に向かって、『虎ちゃん頑張れ~』ってなるんです。

遠く離れた場所で、おばあちゃんが孫の運動会をリアルタイムで観て応援できるってすごい事じゃないですか? ちょっと前で考えたら、中継車呼んでカメラ回してって……もういくらお金がかかるんだって話ですよ。それが、皆さんが部品を小さく小さくして、性能も高性能にしてくれて、値段も安くしてくれたおかげで、こんなドラマが僕の所でも起きるんですよ。すごくないですか?」

「おぉ~」

「工場長、確かに作っている部品一つの値段はって側面もあるかもしれないけど、だからこそ昔では夢だったことがこうして現実に起きてるって、やっぱりみんなの仕事のお陰ですもんね。僕でさえそんな事があるんだから、きっと世の中を探したら、そんな話は山のように出てくるんじゃないですかね。こんなエピソードを聞くとスイッチはいりませんか?」

「いやぁ~、香取さん、スイッチ入ったよ。
今の明日の朝礼で話すから、ちょっと紙に書いてくれない?」
「はっ、紙にですか(笑)」
(二人で大笑い)

僕らのようなサービス業であれば直接お客様と接するので、いろいろなドラマが目に見えてわかったりもします。ただ、今回のような物作りの所ではなかなか、直接お客様と接することのないお仕事もあります。それでも、自分がやっているその仕事の先には、必ずお客様が居て、そのお客様の中には今回のような物語が存在しているわけです。

大切なのは、自分のやっている仕事の先にあるものを想像してみることなんじゃないかなって思います。
もし、こんな風に想像できたとしたら、スイッチが入るんじゃないでしょうか?

是非皆さんのお仕事にも置き換えてみてくださ~い(^^♪